平成29年予備試験の短答式試験(刑事訴訟法)の簡単な解説的な試みをしてみようという趣旨です。

公式解が出ていないので,正解の保障をするものではありません。
また,予告なく解説を変更することもあります。

明確な誤り等についてはコメント欄からお知らせいただけると幸いです。

問題については,法務省のホームページからダウンロードしてください。

解説については,以下の書籍によっています。

【条解】 条解刑事訴訟法第4版
【上口】 刑事訴訟法第2版
【小林】 刑事訴訟法第5版
【百選】 刑事訴訟法判例百選第10版



~その1 捜査 〔第14問〕〔第17問〕 → こちら

~その2 公訴 〔第18問〕〔第21問〕 → こちら

~その3 証拠 〔第22問〕〔第26問〕 → こちら


〔第14問〕(配点:3)
本問は,強制処分と任意処分に関する判例の理解を問う問題です。
いずれも基本的な判例であり,確実に正解したい問題です。

最決昭和51年3月16日は,本肢と同様の判示をしています。
【条解369頁】【小林70頁~73頁】【百選1】
×
最決平成21年9月28日は,本肢のようなエックス線照射による検査行為を検証としての性質を有する強制処分に当たる旨判示しています。
【小林110頁】【百選29】
最判昭和53年6月20日は,本肢と同様の判示をしています。
【条解373頁~374頁】【小林75頁~77頁】【百選4】
最決昭和55年9月22日は,本肢と同様の判示をしています。
【条解373頁~374頁】【小林77頁】【百選A1】
× 最決昭和53年9月22日は,本肢のような警察官の行為を職務質問を行うため停止させる方法として必要かつ相当な行為であるとして適法としています。
【条解373頁~374頁】【小林75頁~77頁】
以上より,正解は1・2・1・1・2となります。


〔第15問〕(配点:2)
本問は,現行犯人逮捕に関する手続の理解を問う問題です。
いずれも実務上重要な知識を問うものであり,確実に正解したい問題です。
×
法217条は,刑法犯について30万円以下の罰金に当たる罪の現行犯人について,
①犯人の住居若しくは氏名が明らかでない場合
又は
②犯人が逃亡するおそれがある場合
に限り,現行犯人逮捕できるものとしています。
したがって,「犯人の住居又は氏名が明らかでない場合に限り」としている点が誤りです。
【条解412頁】【小林86頁~87頁】
×
法212条は,現行犯人逮捕できる場合を,
①現に罪を行い,又は現に罪を行い終った場合

②一定の事由があり,罪を行い終ってから間がないと明らかに認められる場合
に限定しています。
したがって,「罪を犯したことを疑うに足りる充分な理由があり,急速を要する場合」に現行犯人逮捕することはできず,誤りです。
【条解405頁】【小林86頁~87頁】
法212条の「罪」には,既遂犯に限らず,未遂犯も含まれると解されています。
【条解405頁】
法213条は,「何人でも」現行犯人逮捕できることとし,法214条は一般私人が現行犯人逮捕することができることを予定した手続的規律を定めています。
【条解408頁~411頁】【小林86頁~87頁】
法216条・203条1項は,司法警察員について,現行犯人逮捕された被疑者を受け取ったとき,被疑者に対し,直ちに犯罪事実の要旨及び弁護人を選任することができる旨告知すべき義務を定めています。
【条解388頁】【小林88頁~89頁】
以上より,正解は1となります。


〔第16問〕(配点:3)
本問は,被疑者勾留の理解を問う問題です。
法曹いずれにとっても重要な時間的制限に関する知識を問うものであり,確実に正解したい問題です。
①法203条1項は,司法警察員が留置の必要があると思料するときは被疑者の逮捕後48時間以内に検察官送致しなければならないと規定しています。
②法205条1項は,検察官が留置の必要があると思料するときは法203条1項に基づき被疑者の送致を受けた時から24時間以内に勾留の請求をしなければならないと規定しています。
③法208条は,被疑者を勾留した事件について,検察官が勾留請求の日から10日以内に公訴を提起しないときは被疑者を釈放しなければならないと規定しています。

したがって,勾留期間の満了日は,勾留請求の日(平成28年10月8日)から10日目の「平成28年10月17日」となります(8・9・10・11・12・・・・・17)。
なお,有効期間は,その勾留状を執行できる時間的制限に過ぎず,勾留できる期間を定めるものではありません(規300条本文)。令状の有効期間については,法55条1項本文に従い初日不算入です。
【条解388頁~398頁】【小林88頁~92頁】
以上より,正解は3となります。


〔第17問〕(配点:2)
本問は,身体検査に関する条文及び判例の理解を問う問題です。
相対的にやや細かな知識も問われていますが,組合せ問題であり,正解にぜひともたどり着きたい問題です。
×
法225条は,1項が168条1項準用していますが,同条6項が直接強制を定める139条を準用していないので,鑑定受託者が直接強制により身体検査を行うことはできないと考えられています。
【条解434頁~435条】【小林110頁~111頁】
法218条3項は,身体拘束を受けている被疑者については,裸にしない限り令状なく写真を撮影することができるとしています。
【条解412頁~416頁】【小林110頁】
× 法218条,222条1項本文後段・131条2項は,女子の身体を検査するにあたって,必ず医師又は成年の女子の立会いを要するものとしており,これは令状記載を要する裁判事項とされていません。
【条解247頁】
着衣や体表についても捜索の対象になると解されているところ,これは体腔内の捜索を伴わない限り,捜索差押許可状のみで実施できるとされています。
【条解211頁~214頁】
× 最決昭和55年10月23日は,強制採尿について,その実質を捜索差押とした上で,身体検査令状に関する法218条6項を捜索差押許可状に準用すべきものとしており,身体検査令状を要するものとはしていません。
【条解416頁】【小林104頁】【百選27】
以上より,正解は3となります。