~その1 捜査 〔第14問〕〔第17問〕 → こちら

~その2 公訴 〔第18問〕〔第21問〕 → こちら

~その3 証拠 〔第22問〕〔第26問〕 → こちら


〔第18問〕(配点:3)
本問は,典型的な一罪の一部起訴の例を念頭において考えれば,難しくない問題であると思います。
×
一罪の一部起訴がなされると,起訴されていない一部について裁判所が事実認定をして有罪・無罪の判断をすることができませんので,起訴されない一部について実体的真実発見がなされません。
したがって,肯定説の立場からの論拠となり得ません。
【小林121頁~122頁】
法248条が起訴裁量主義を定めていることから,検察官には一罪の全部を訴追するか否かにとどまらず,一罪の一部について訴追するか否かを判断する裁量も当然に与えられていると解する理屈です。
したがって,肯定説の立場からの論拠となり得ます。
【小林121頁~122頁】
裁判所の訴因変更命令に形成力がないことから,検察官の審判対象設定権限(検察官処分権主義)が裁判所の判断に優越することになり,その審判対象設定にあたって,一罪の一部のみを対象とすることも当然に予定されていると解する理屈です。
したがって,肯定説の立場からの論拠となり得ます。
【小林121頁~122頁】
刑訴法が訴因制度を採用したことから,検察官に審判対象設定権限が与えられており,その審判対象設定にあたって,一罪の一部のみを対象とすることも当然に予定されていると解する理屈です。
したがって,肯定説の立場からの論拠となり得ます。
【小林121頁~122頁】
被害者の数が膨大な殺人及び殺人未遂事件で,全ての被害者との関係で被告人を訴追すると審理に長期間を要するなどの場合,その一部の被害者との関係での訴追を回避することがあり,これにより被告人にとって防御の対象が絞られ,利益となる場合もあり得ます。
したがって,肯定説の立場からの論拠となり得ます。
【小林121頁~122頁】
以上より,正解は2・1・1・1・1となります。


〔第19問〕(配点:2)
本問は,公訴時効についての理解を問う問題です。平成22年改正を理解していれば,難しくないはずです。
完成×
法250条1項は,人を死亡させた罪であって禁錮以上の刑に当たるものについて公訴時効の期間を定めていますが,「死刑に当たるもの」は除かれており,公訴時効の完成がないことになっています。
法251条は,2以上の主刑がある場合には最も重い刑に従って公訴時効期間を判断することとしているところ,殺人罪は,法定刑が死刑又は無期若しくは5年以上の有期懲役とされており(刑法199条),法定刑に死刑がある以上,公訴時効が完成することはありません。
【条解501頁】【小林134頁】
完成× 法252条は,刑の加重減軽事由がある場合でも,加重減軽しない刑によって公訴時効期間を判断するものとしています。
殺人未遂罪については,刑の任意的減軽があり得ますが,法定刑に死刑がある以上(刑法203条,199条),公訴時効が完成することはありません。
【条解501頁】【小林134頁】
完成× 強盗致死罪は,法定刑が死刑又は無期懲役とされており(刑法240条後段),法定刑に死刑がある以上,公訴時効が完成することはありません。
【条解501頁】【小林134頁】
完成○ 保護責任者遺棄致死罪は,法定刑が3年以上の有期懲役とされており(刑法219条,218条,205条),法定刑に死刑がないので,法250条1項所定の期間が経過することで公訴時効が完成します。
【条解501頁】【小林134頁】
完成○ 傷害致死罪は,法定刑が3年以上の有期懲役とされており(刑法205条),法定刑に死刑がないので,法250条1項所定の期間が経過することで公訴時効が完成します。
【条解501頁】【小林134頁】
以上より,正解は3となります。


〔第20問〕(配点:2)
本問は,被告人の勾留に関する手続的理解を問う問題です。組合せ問題であり,確実に正解したいです。
×
法92条1項は,保釈を許す決定をするときだけでなく,保釈の請求を却下する決定をする場合にも,検察官の意見を聴かなければならないとしています。
【条解191~192頁】【小林173頁~174頁】
法96条1項は,職権で保釈を取り消すことができるとしています。
【条解196~197頁】【小林175頁】
法88条1項は,被告人のみならず,その配偶者も保釈の請求をすることができるとしているところ,これは被告人と独立した請求権であるとされています。
【条解185~186頁】【小林173頁~174頁】
法87条1項は,検察官にも勾留取消請求の権利を認めています。
【条解183~185頁】【小林173頁】
× 法95条は,法87条,89条,91条等と異なり,「適当と認めるとき」に勾留の執行を停止できるとしており,被告人から勾留執行停止の申立てがあったとしても,裁判所が「適当と認め」ない,つまり職権を発動しないことも自由であると考えられていますので,勾留の執行を停止するか否かの裁判をしなければならないものではありません(なお,実務上は,職権を発動しない旨通知される例が多いです)。
【条解195~196頁】【小林175頁~176頁】
以上より,正解は2となります。


〔第21問〕(配点:2)
本問は,訴因変更の要否及び可否等についての判例の理解を問う問題です。
×
最大判昭和40年4月28日は,幇助の訴因に対して共同正犯の事実を認定するためには,幇助の訴因には含まれていない共謀の事実を新たに認定しなければならず,また法定刑も重くなることから,訴因変更の手続が必要になる旨判示しています。
【条解690頁】【小林142頁~147頁】
× 最判昭和26年6月15日は,強盗の起訴に対し恐喝を認定する場合の如く,裁判所がその態様及び限度において訴因たる事実よりもいわば縮少された事実を認定するについては,敢えて訴因罰条の変更手続を経る必要がない旨判示しています。
【条解691頁】【小林142頁~147頁】
× 最決昭和53年3月6日は,収受したとされる賄賂と供与したとされる賄賂との間に事実上の共通性がある場合には,収賄と贈賄が両立しない関係にあり,かつ,一連の同一事象に対する法的評価を異にするに過ぎないものであつて,基本的事実関係においては同一であるとして,公訴事実の同一性を認めており,法312条1項に従い,訴因変更ができることとなります。
【条解697頁】【小林149頁~153頁】【百選46】
最判昭和33年2月21日は,窃盗の幇助をした者が,正犯の盗取した財物を,盗品であることを知りながら買受けた場合においては,窃盗幇助罪の外盗品等有償譲受罪が別個に成立するため両者が併合罪の関係にあるとして,両者の間に公訴事実の同一性を欠くとしており,訴因変更は許されません。
【条解686頁】【小林149頁~153頁】
最決昭和43年11月26日は,起訴状に記載された殺人の訴因についてはその犯意に関する証明が充分でないため無罪とするほかなくても,審理の経過にかんがみ,これを重過失致死の訴因に変更すれば有罪であることが証拠上明らかであり,しかも,その罪が重過失によつて人命を奪うという相当重大なものであるような場合には,例外的に,検察官に対し,訴因変更手続を促しまたはこれを命ずべき義務があるとしています。
【条解692~693頁】【小林148頁~159頁】
以上より,正解は5となります。