~その1 捜査 〔第14問〕〔第17問〕 → こちら

~その2 公訴 〔第18問〕〔第21問〕 → こちら

~その3 証拠 〔第22問〕〔第26問〕 → こちら


〔第22問〕(配点:2)
本問は,公判期日外での証人尋問に関する条文の知識を問う問題です。

法309条1項,規205条1項は,証拠調べに関する異議の理由を法令違反又は相当でないことの2つ定めているところ,証拠調べに関する決定に関する異議については法令違反のみに限定しています。
法158条に基づく裁判所外での証人尋問の実施に関する裁判所の決定は,法297条に定める証拠調べの方法を定めるものにほかならず,規205条1項により,異議事由が法令違反のみに限定されることになります。
【条解670頁~676頁】【小林214頁~215頁】
× 法157条1項は,当事者に証人尋問への立会権を認めており,証人尋問の立会いに裁判所の許可は不要です。
【条解276頁~279頁】
× 憲法82条1項は,裁判の対審及び判決を公開法廷で行うべきことを定めているところ,ここにいう「対審」は公判期日において行われる手続であると解されています。
法158条に基づく裁判所外での証人尋問は,公判期日外で行われるものであって,口頭弁論ではないので,公開しなければならないものではありません。
【条解576頁,286頁~289頁】【小林165頁~166頁】
法303条は,公判準備における証人尋問の結果を記載した書面につき,その後の公判期日において証拠書類として取り調べなければならないと定めています。
法158条に基づく裁判所外での証人尋問は,公判期日外で行われるものであって,公判期日での取調が行われていないため(法282条1項参照),尋問における供述内容を証拠とするためには,尋問結果を取り調べる必要があります。
【条解649頁~650頁】【小林211頁】
× 法321条1項2号は,被告人以外の者が公判準備又は公判期日において前の供述と相反等する供述をした場合には,所定の事由が認められるときに,証拠とすることができるとしています。
法158条に基づく裁判所外での証人尋問は,公判準備にあたります。
【条解857頁】【小林253頁】
以上より,正解は2となります。


〔第23問〕(配点:2)
本問は,証人尋問での書面等の利用の具体的場面を問う問題です。
なお,書面又は物に関する成立・同一性についての尋問で利用する場合には裁判長の許可が不要であり,他方,記憶喚起や供述明確化のための利用には裁判長の許可が必要です。
(a)
アは,Aが事故現場の道路状況等を正確に観察し,その結果を実況見分調書に正確に記載した旨証言したことから,Aの証言した調書と実況見分調書の同一性を確認する趣旨で実況見分調書を示していると考えられます。
(なお,甲又はその弁護人の証拠意見が明らかでないですが,同実況見分調書を不同意としている場合には,法321条3項所定の事項を証言させたものであり,書面の成立について確認する趣旨で実況見分調書を示しているとも考えられます。いずれにせよ規199条の10に基づく尋問です。)
【条解659頁】【小林頁】
(c)
イは,Bが目撃した事故状況に関して,衝突地点を交差点の中央付近と証言したことから,その衝突地点を視覚的に分かりやすくする趣旨でなされたものであり,規199条の12に基づく供述明確化のための利用であると考えられます。
【条解659頁~660頁】【小林頁】
(b)
ウは,Bが事故後の被告人運転車両の動きという重要な事項につき,捜査段階で具体的な供述をしていながら,覚えていない旨証言したことから,事故後の地点であるコンビニエンスストアが写った写真を見せることで,その地点での記憶を喚起しようとする趣旨でなされたものであり,規199条の11に基づく供述明確化のための利用であると考えられます。
【条解660頁】【小林頁】
(a)
エは,Cがガラス片を押収したとされていることから,検察官が保持しているガラス片と押収したガラス片の同一性を確認しようとする趣旨でなされたものであり,規199条の10に基づく物の同一性を確認するための利用であると考えられます。
【条解659頁】【小林頁】
(c)
オは,Dが自転車の衝突箇所について鑑定していたところ,考えられる事故状況について,鑑定書の記載に基づく公判供述を分かりやすくする趣旨でなされたものであり,規199条の12に基づく供述明確化のための利用であると考えられます。
【条解659頁~660頁】【小林頁】
以上より,正解は3となります。


〔第24問〕(配点:3)
本問は,証拠物及び証拠書類の取調べに関する手続の理解を問う問題です。
×
規190条に基づく証拠決定にあたっては,裁判所は当事者の意見にかかわらず,当該証拠の必要性の有無を判断し,必要性を欠く証拠については証拠調べ請求を却下することができます(規189条の2参照)。
【条解638頁~640頁】【小林頁】
× 法305条は,証拠書類の取調べ方法を朗読と規定していますが,規203条の2が訴訟関係人の意見を聴いた上で相当と認めるときに,朗読に代えてその内容の要旨を告知するので足りるとしています。
【条解663頁~667頁】【小林頁】
× 法306条は,証拠物の取調べ方法を展示と規定していますが,取調べにあたって事件との関連性を質問しなければならないと規定していません。
【条解639頁,667頁~668頁】【小林頁】
法310条は,証拠調べの終わった証拠については遅滞なく裁判所に提出しなければならないと規定していますが,裁判所の許可を得たときは,謄本を提出すれば足ります。
【条解678頁~679頁】【小林頁】
× 法298条,規189条の2は,証拠書類について,必ず原本の取調べを請求しなければならないものとはしていません。
【条解632頁~643頁】【小林頁】
以上より,正解は2・2・2・1・2となります。


〔第25問〕(配点:2)
本問は,証拠裁判主義に関する問題です。
共謀共同正犯における共謀の事実は,刑罰権の存否を基礎づける犯罪事実そのものであり,厳格な証明を要します。
【条解806頁~809頁】【小林頁】
累犯加重となる前科は,刑罰権の範囲を基礎づける刑の加重事由であり,厳格な証明を要します。
【条解806頁~809頁】【小林頁】
被告人が争っていない暴行事実は,公訴提起されている以上犯罪事実そのものであり,公訴提起されていない余罪であるとしても刑の量定に当たって考慮される事実であり,いずれにせよ刑罰権の存否及び範囲を定める事実として,厳格な証明を要します。
【条解806頁~809頁】【小林頁】
× 勾留の要件に関する事実は,訴訟法上の事実に過ぎず,刑罰権の発動につながるものではないので,厳格な証明を要することにはなりません。
【条解806頁~809頁】【小林頁】
事後強盗事件における被告人の目的は,犯罪事実そのものであり,厳格な証明を要します。
【条解806頁~809頁】【小林頁】
以上より,正解は3となります。


〔第26問〕(配点:2)
本問は,裁判官面前調書の伝聞例外に関する問題です。
最大決昭和25年10月4日は,第1回公判期日前の裁判官の面前で行われた証人尋問の調書を法321条1項1号の書面に該当する旨判示しています。
【条解851頁~852頁,867頁~869頁】【小林頁】
最決昭和29年11月11日は,民事事件における証人尋問調書を法321条1項1号の書面に該当する旨判示しています。
【条解851頁~852頁,867頁~869頁】【小林頁】
法321条1項1号は,受訴裁判所以外の裁判官の面前でなされた書面を広く対象としており,法321条2項と区別されているところ,他の刑事事件における証人尋問調書は,法321条1項1号が想定している典型例であるということになります。
【条解851頁~852頁,867頁~869頁】【小林頁】
最決昭和57年12月27日は,他の刑事事件において宣誓義務のない被告人の被告人質問調書を法321条1項1号の書面に該当する旨判示しています。 。
【条解851頁~852頁,867頁~869頁】【小林頁】
法321条1項1号は,受訴裁判所以外の裁判官の面前でなされた書面を広く対象としており,法321条2項と区別されているところ,少年保護事件における証人尋問調書も,法321条1項1号の書面にあたるといえます。
【条解851頁~852頁,867頁~869頁】【小林頁】】
以上より,正解は6となります。