性犯罪の処罰に関する「刑法の一部を改正する法律」が参議院で可決され,公布の日から起算して20日を経過した日(決定:平成29年7月13日)から施行するとのことなので,備忘録的に整理する試みです。
(一部抜粋) | |
現行法 | 改正法 |
第22章 わいせつ,姦淫及び重婚の罪 | 第22章 わいせつ,強制性交等及び重婚の罪 |
(強制わいせつ) | (強制わいせつ) |
(強姦) | (強制性交等) |
(準強制わいせつ及び準強姦) 第178条 (改正なし) 2 女子の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ,又は心神を喪失させ,若しくは抗拒不能にさせて,姦淫した者は,前条の例による。 | (準強制わいせつ及び準強制性交等) 第178条 (改正なし) 2 人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ,又は心神を喪失させ,若しくは抗拒不能にさせて,性交等をした者は,前条の例による。 |
(集団強姦等) 第178条の2 2人以上の者が現場において共同して第177条又は前条第2項の罪を犯したときは,4年以上の有期懲役に処する。 | (削除) |
(新設) | (監護者わいせつ及び監護者性交等) 第179条 18歳未満の者に対し,その者を現に監護する者であることによる影響力があることに乗じてわいせつな行為をした者は,第176条の例による。 2 18歳未満の者に対し,その者を現に監護する者であることによる影響力があることに乗じて性交等をした者は,第177条の例による。 |
(未遂罪) 第179条 第176条から前条までの罪の未遂は,罰する。 | (未遂罪) 第180条 第176条から前条までの罪の未遂は,罰する。 |
(親告罪) 第180条 第176条から第178条までの罪及びこれらの罪の未遂罪は,告訴がなければ公訴を提起することができない。 2 前項の規定は,2人以上の者が現場において共同して犯した第176条若しくは第178条第1項の罪又はこれらの罪の未遂罪については,適用しない。 | (削除) |
(強制わいせつ等致死傷) 第181条 第176条若しくは第178条第1項の罪又はこれらの罪の未遂罪を犯し,よって人を死傷させた者は,無期又は3年以上の懲役に処する。 2 第177条若しくは第178条第2項の罪又はこれらの罪の未遂罪を犯し,よって女子を死傷させた者は,無期又は5年以上の懲役に処する。 3 第178条の2の罪又はその未遂罪を犯し,よって女子を死傷させた者は,無期又は6年以上の懲役に処する。 | (強制わいせつ等致死傷) 第181条 第176条,第178条第1項若しくは第179条第1項の罪又はこれらの罪の未遂罪を犯し,よって人を死傷させた者は,無期又は3年以上の懲役に処する。 2 第177条,第178条第2項若しくは第179条第2項の罪又はこれらの罪の未遂罪を犯し,よって人を死傷させた者は,無期又は6年以上の懲役に処する。 3 (削除) |
(強盗強姦及び同致死) 第241条 強盗が女子を強姦したときは,無期又は7年以上の懲役に処する。よって女子を死亡させたときは,死刑又は無期懲役に処する。 | (強盗・強制性交等及び同致死) 第241条 強盗の罪若しくはその未遂罪を犯した者が強制性交等の罪(第179条第2項の罪を除く。以下この項において同じ。)若しくはその未遂罪をも犯したとき,又は強制性交等の罪若しくはその未遂罪を犯した者が強盗の罪若しくはその未遂罪をも犯したときは,無期又は7年以上の懲役に処する。 2 前項の場合のうち,その犯した罪がいずれも未遂罪であるときは,人を死傷させたときを除き,その刑を減軽することができる。ただし,自己の意思によりいずれかの犯罪を中止したときは,その刑を減軽し,又は免除する。 3 第1項の罪に当たる行為により人を死亡させた者は,死刑又は無期懲役に処する。 |
(未遂罪) 第243条 第235条から第236条まで及び第238条から第241条までの罪の未遂は,罰する。 | (未遂罪) 第243条 第235条から第236条まで,第238条から第240条まで及び第241条第3項の罪の未遂は,罰する。 |
「13歳以上の者」
年齢13歳以上の全ての人をいい,男女の別を問わない。
「性交」
陰茎を膣内に挿入し,又は挿入させる行為
「肛門性交」
陰茎を肛門内に挿入し,又は挿入させる行為
「口腔性交」
陰茎を口腔内に挿入し,又は挿入させる行為
・監護者がその影響力に乗じてわいせつな行為や性交等を行う類型を強制わいせつ,強制性交等罪と同様に処罰する旨定めた点
・強盗・強制性交等罪について,未遂の場合の任意的減軽や必要的減免が定められた点
・親告罪である旨の規定が削除された点
がほかに特筆すべき点となるでしょう。
なお,親告罪である旨の規定が削除された点については,附則により,改正法施行時において既に告訴がされる可能性がなくなっているものを除き,改正法施行前の行為についても新法を適用し,非親告罪として取り扱うものとされています。
強制わいせつ罪や強姦罪で立件された被疑者・被告人の弁護人となった場合に,「示談できれば告訴取り消してもらえるので裁判にならない」などとは口が裂けても言えなくなりますね。
年齢13歳以上の全ての人をいい,男女の別を問わない。
「性交」
陰茎を膣内に挿入し,又は挿入させる行為
「肛門性交」
陰茎を肛門内に挿入し,又は挿入させる行為
「口腔性交」
陰茎を口腔内に挿入し,又は挿入させる行為
・監護者がその影響力に乗じてわいせつな行為や性交等を行う類型を強制わいせつ,強制性交等罪と同様に処罰する旨定めた点
・強盗・強制性交等罪について,未遂の場合の任意的減軽や必要的減免が定められた点
・親告罪である旨の規定が削除された点
がほかに特筆すべき点となるでしょう。
なお,親告罪である旨の規定が削除された点については,附則により,改正法施行時において既に告訴がされる可能性がなくなっているものを除き,改正法施行前の行為についても新法を適用し,非親告罪として取り扱うものとされています。
強制わいせつ罪や強姦罪で立件された被疑者・被告人の弁護人となった場合に,「示談できれば告訴取り消してもらえるので裁判にならない」などとは口が裂けても言えなくなりますね。
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